更新日: 2024年1月26日
幻の「宇品線」に迫る!~歴史に翻弄された路線~
広島県内で「JRの路線」というと、山陽本線や呉線・可部線や芸備線を想像する人が多いでしょう。
しかし1986(昭和61)年までは「宇品線」も存在したのです。
宇品線は日清戦争時の軍用線として誕生
国鉄宇品線が誕生するきっかけとなったのは、1894(明治27)年に勃発した日清戦争です。日本全国から召集された兵士や軍事輸送物資は、山陽鉄道(現在のJR山陽本線)を使って広島駅に集められ、軍港と定められた宇品港(現在の広島港)から戦地へ送られました。
しかし当時の広島には、広島駅から宇品港までの輸送機関が存在していませんでした。そこで陸軍省は、山陽鉄道に軍用線の建設を委託。広島駅と宇品港を結ぶ「宇品線」が着手されました。必要に迫られた陸軍からの要請ということもあり、工事はハイスピードで進められました。
着工が1894(明治27)年8月4日、竣工が8月20日という、わずか16日間の突貫工事で広島駅~宇品港の5.9kmの敷設工事が完了。翌日には運行が開始され、軍事輸送専用線としての宇品線が開通しました。
起点となる広島駅には軍用列車の引き込み線が整備され、終点の宇品駅には陸軍運輸部宇品支部が設けられました。宇品駅の軍用ホームは約560mもあり、当時日本一の長さを誇ったといいます。戦時中の宇品線は30分おきに列車が発着するなど非常に慌ただしく、多くの兵士や物資の輸送を担いました。
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