トップ > カルチャー >  関西 > 京都府 >

長岡京へ遷都された経緯

次に遷都が実行されたのは、桓武天皇(かんむてんのう)の時代です。天智天皇(てんじてんのう)の皇統であった桓武天皇は、天武天皇(てんむてんのう)系が治めてきた平城京に代わる都を建てることで権力を誇示しようとしました。そこで選ばれたのが、長岡京です。

長岡京のあった現在の向日市(むこうし)、長岡京市周辺は木津川、鴨川、桂川が合流する巨椋池のほとりであり、水運の利便性が高い場所でした。ですが雨が降るとすぐにぬかるんでしまうため、人が住むには適していません。それでも、中心部から3㎞も進むと高台があり、山陰道から山陽道にも面していて陸運も便利でした。

こうして新都の場所が決められ、784年から造営工事は本格化します。工事は半年ほどで終わり、同年11月に桓武天皇が長岡に入って、遷都は事実上成功したはずでした。

長岡京の復元図

長岡京の復元図

都であった期間が10年しかなかったことから「長岡京は未完成だった」と考えられていました。しかし戦後になって発掘調査が進むと、平城京などから建物を移築して造営されており、ほぼ完成していたことがわかりました。

長岡京は怨霊を恐れた桓武天皇に放棄された

ところが、785年に造営工事の責任者であった藤原種継(ふじわらのたねつぐ)が暗殺され、この事件に連座したと認定された早良親王(さわらしんのう)が憤死します。

これを境に疫病が大流行。早良親王の怨霊の仕業と恐れた桓武天皇は長岡京の都の放棄を決め、新たに平安京が造営されることになったのです。

長岡京に替わって遷都先に認定された平安京

遷都先に平安京が選ばれた理由は、京都盆地が太平洋側とは淀川で通じ、日本海側からも琵琶湖から瀬田川、宇治川経由で行き来できるからです。つまり、長岡京とほぼ同じ理由の利便性が優先されたのです。

平安京は風水に基づいて造営された?

ただし、長岡京の放棄は疫病と、それを導いた怨霊が理由です。これらを鎮めるための地形が整っていなくてはなりません。

平安京は北に船岡山、東に鴨川、西に山陽道と山陰道、南に巨椋池が位置していました。これは風水における最良の地とされます。さらに比叡山に延暦寺を置き、都の南端に羅城門をはさんで東寺と西寺を配置するなど万全の対策をとります。

平安京が風水にもとづいているという説には異論も多いですが、少なからず影響を与えていたとしても不思議はありません。

都の移り変わり(694年以降)

都の移り変わり(694年以降)

694年に持統天皇が飛鳥から藤原京に移ったあと、100年の間に日本の首都は何度も変わりました。

『京都のトリセツ』好評発売中!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。京都の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く京都の大地

・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)

…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 京都を駆ける充実の交通網

・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道

…などなど京都ならではの交通事情を網羅。

Part.3 京都の歴史を深読み!

・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた

…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 京都で育まれた産業や文化

・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮

…などなど京都の発展の歩みをたどる。

『京都のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!