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京阪電気鉄道が関西初の地下鉄路線を完成
京都においても、京阪電気鉄道は関西で最初の地下路線を敷きました。西院(さいいん)~京阪京都(現大宮)間の約2㎞で、1929年に京阪電鉄の子会社である「新京阪鉄道」が工事に着手。
地下水位が高く工事は難航しましたが、欧州製の鋼矢板を取り寄せ、道路の両側に打ちつめてアスファルト防水を施すなど、当時としては最高水準の技術が投入されます。
地下線は2年後の1931年に完成し、新聞も「春は地下鉄に乗って」などと、関西初の地下鉄開通を報じました(現在、この区間は阪急京都線となっています)。
京阪電気鉄道が日本初の発車メロディを導入
また、諸説あるものの、列車の出発を知らせる発車メロディを日本で最初に流したのも京阪電気鉄道とされます。それは1971年の淀屋橋駅でのことで、使用されたのはモーツァルトが作曲した 『フィガロの結婚』より「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」の1節でした。
京阪電気鉄道の発車メロディのしかけ
現在の発車メロディは京阪線の石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)、中書島(ちゅうしょじま)、出町柳など18の駅のホームで流れます。
作曲したのはフュージョンバンド「カシオペア」の元キーボードプレイヤー向谷実(むかいやみのる)で、バンド在籍中の2007年に発車メロディだけでなく、京阪線全駅の接近メロディと通過メロディを手がけています。
音楽は進行方向と列車種別によって4つのパターンに分けられています。たとえば京都方面行きの特急では、琴の音色などを用いて「京風」を優雅に演出。各駅のメロディはすべて異なり、全部をつなげると1つの曲になるという趣向が凝らされています。これは全国的にもめずらしいしかけです。
京阪電気鉄道で異彩を放つ京津線とは
長短あわせて8本の路線を有する京阪電気鉄道でとりわけ異彩を放っているのが、御陵(みささぎ)~びわ湖浜大津間を結ぶ京津(けいしん)線です。
路線距離は約7.5 ㎞と短いものの、そのルートには多くの急カーブや日本で3番目の急勾配を持つ逢坂山(325m)越えの区間が存在します。
京津線はこの山岳路線だけでなく、大津市内の市街地では路面を走り、さらには京都市営地下鉄にも乗り入れています。そのため短い編成の車両ではなく、4両編成の電車が柵で隔たれていない路面を自動車と並行して走るという、ダイナミックなシーンを見ることができます。
このように多様な区間を走る路線は国内に例がなく、京津線は鉄道ファンに「劇場路線」と呼ばれています。
京阪電気鉄道の車両は数々のハイテク装備を搭載
当然、これほど条件の異なる路線を走行するためには、さまざまな性能が求められます。京阪の車両には地上と地下両方で使用できる集電装置(パンタグラフ)や、自動運転が可能になるATO(自動列車運転装置)など数々のハイテク装備が搭載されています。
急カーブを列車が通過する際に生じる車輪とレールの摩擦音も、京津線では緩和のために一部区間の線路の脇にスプリンクラーを設置し、水を撒(ま)いて対処しています。
電車が通る直前に水煙が吹き上がる光景はなかなか爽快。こうした設備にも「技術の京阪」の底力が見えるでしょう。
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・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)
…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 京都を駆ける充実の交通網
・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道
…などなど京都ならではの交通事情を網羅。
Part.3 京都の歴史を深読み!
・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた
…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 京都で育まれた産業や文化
・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
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・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮
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