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京都での内国勧業博覧会が電車実用化のきっかけ
第4回の会場である京都では、電車の実用化を決定。内国勧業博覧会による観光客増加を見越してのことです。その結果、内国勧業博覧会開催の2カ月前に電車の実用化に成功。大きく寄与したのは、電力と線路、そして「地形」です。
京都の日本初の電車実用化に寄与した電力
人口減による京都の衰退を前に、府知事は琵琶湖疏水を利用した大型水車による産業振興を計画していました。
ですが、土木技術者の田邊朔郎(たなべさくろう)が米国コロラド州で世界初の水力発電を見学したことで、計画は発電所の建設に変更となります。
京都の日本初の電車実用化に寄与した線路と地形
生み出される電力の使い道もすでにヒントはありました。なぜなら京都市内には、すでに幕末から線路が敷かれていたからです。ただ、線路といっても、深溝に花崗岩を敷きつめた「車石」という牛車用のものです。
しかし、大津から三条までの総延長約12㎞におよぶ車石は、歩道から完全に切り離された事実上の線路でした。もちろん機関車も1880年に開通済みです。田邊はこうした牛車用の線路を生かし、産業や輸送の電力化を思いついたといいます。
さらに京都市は中心が盆地の平野部で起伏が少ないことも、好条件でした。街も碁盤目状に区分けされており、電車を走らせるには最適の環境だったのです。
京都で日本初の電車開通とその発展
計画は進み、1895年2月に京都で日本初の営業電車が七条~伏見町下油掛(ふしみちょうしもあぶらかけ)間に開通しました。
伏見稲荷の参拝客も多数利用したようです。商業用電車の実用化は当時世界で5番目という快挙でした。この路線がのちの京都市電につながります。
当初は民間企業の「京都電気鉄道」が運営していましたが、1918年に京都市が買収。昭和40年代の最盛期には1日平均50万人以上が利用する京都交通の要となりました。
京都市電の全面廃止と現在
ところが、自動車社会の到来で利用客数は減少し、京都市は地下鉄建設計画を立案。これが実行に移されることにより、1978年に全面廃止されました。
伏見区下油掛町には今も電鉄事業発祥の地を示す石碑が立ち、平安神宮に保管されている当時の車両は重要文化財に指定されました。
大宮交通公園にも車両が残されていましたが、2020年8月に大阪府交野市(かたのし)のハピネスパーク交野霊園へ譲渡されました。老朽化部分を修復してから、電車型の法要施設にする予定であるといいます。
現在、広島電鉄と伊予鉄道で、かつての京都市電の車両が走っています。
京都市街の石畳は市電の敷石
東山の二寧坂や産寧坂、銀閣寺近くの哲学の道、祇園の石塀小路などに敷かれている石畳は、もともと、京都市電の軌道敷石でした。
京都市電の敷石は高級な御影石(みかげいし)であり、全廃された際、市民の要望もあって再利用が決まりました。道路のほかにも、小学校や大学の敷石、南禅寺や金戒光明寺などの寺社の参道や庭石にも利用されています。
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Part.1 地図で読み解く京都の大地
・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)
…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 京都を駆ける充実の交通網
・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道
…などなど京都ならではの交通事情を網羅。
Part.3 京都の歴史を深読み!
・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた
…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 京都で育まれた産業や文化
・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮
…などなど京都の発展の歩みをたどる。
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