目次
【京都の街道】西国街道
街道自体は江戸時代以前から存在し、人やモノが往来していました。幕府は物流の利便性向上や中央と地方の連携を強めて支配力を高めるため、五街道を中心に整備しました。
それ以外にも「脇街道(わきかいどう)」という京都にいたる街道があり、そのひとつが「西国街道(さいごくかいどう)」です。
西国街道は、京都から下関までの約577㎞。起点は京都の羅城門ですが、門自体は10世紀 に失われているので、事実上は羅城門の近くにある東寺になります。
途中、現在の京都府と大阪府の境である山崎を通り、そこから摂津国(大阪府、兵庫県)、播磨国(兵庫県)、備前国(岡山県)を経て長門国(山口県)にいたります。
西国街道の当時の様子
この街道は西国大名の参勤交代ルートで、九州・四国の特産品などが運び込まれました。各藩の境には関所や番所が置かれ、人と物資の移出入は規制されていました。
【京都の街道】山陰街道
山陽道とも呼ばれる西国街道に対し、日本海側を通って京都~下関間を結ぶのが「山陰街道」です。
関所が置かれた出入口「京の七口」のひとつである丹波口を起点とし、丹波国(京都府、兵庫県)から但馬国(たじまこく)(兵庫県)、因幡国(いなばこく)(鳥取県)などを経て周防国(すおうこく)(山口県)で西国街道に合流します。その距離は約590㎞です。
ちなみに「七口」といわれますが、実際は9つの出入り口が存在しました。
【京との街道】京街道
これら西国や江戸とを結ぶ長距離街道のほかに、大坂や奈良といった近くの主要都市と京都を結ぶ街道も存在しました。
大坂と京都をつなぐのが「京街道」(大坂街道)で、京橋(のちに高麗橋(こうらいばし) )から淀川左岸に沿って進み、京都の淀からは桂川に沿う「鳥羽街道」と宇治川に沿って大津へと向かう「大津街道」に分かれていました。
大阪経由で京都に運ばれた物資
当時の大坂は、日本海から瀬戸内海を通る西廻り航路において北前船の集積地であり、東北地方の日本海側や北陸、山陰などから特産品が持ち込まれ、秋田や島根の鉱山から採掘された金・銀・銅も運び込まれました。
そして京街道の陸路か淀川の水路を使って淀に陸揚げされ、鳥羽街道を通って京都に運ばれました。
また瀬戸内海や四国、和歌山からの魚介類も淀で陸揚げされ、「走り」と呼ばれる仲仕(なかし)が運びました。野菜や魚の初物を「走り」と呼ぶのは、これが語源です。
【京との街道】奈良街道
奈良から京都へいたるのは「奈良街道」、もしくは「大和街道」。ただし、奈良側からは「京街道」と呼ばれます。
歴史は古く、ルートもいくつか存在します。近代では京都五条大橋から伏見にいたり、巨椋池から木津川を越え、東大寺転害門(てがいもん)までの道のりだとされます。
長く都として栄えた京都には四方八方から街道が集まり、人やモノがひっきりなしに往来したのです。
京都市街を碁盤目に区切る「通」はいつ整備された?
京都市内中心部の道は「通」と呼ばれ、ほとんど南北と東西に直行します。これは平安京時代の名残ですが、当初は名称があったわけではなく、また街路は「大路」「小路」であり「通」とは呼ばれていませんでした。
戦国時代末期には現在の「通」という表現が生まれ、町割りに大きな影響を与えたのが豊臣秀吉です。秀吉はおどいを築造し、寺町通・室町通間と堀川通以西で半町ごとに新しい街路を南北に通しました(天正の地割)。
江戸時代には河原町通、木屋町通など鴨川西岸、鴨川東岸の開発が進み、明治時代から大正時代にかけて主要道路の拡張が行われ、現在の形に整備されていきました。
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・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)
…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 京都を駆ける充実の交通網
・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道
…などなど京都ならではの交通事情を網羅。
Part.3 京都の歴史を深読み!
・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた
…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 京都で育まれた産業や文化
・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮
…などなど京都の発展の歩みをたどる。
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