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木津川流域に天井川が多い理由

京都にある23の天井川のうち、じつに15が京都府の南部を流れる木津川流域にあります。木津川右岸は山地で、急な崖になっています。

一方の左岸は大阪層群からなる丘陵が連なり、ゆえに木津川への土砂の流出がとても多かったのです。川の周辺には農地や人家があり、その間には木津川へ流入する支流が多くあります。

土砂の堆積でそれぞれの支流の川底がどんどん上がっていきましたが、川底を掘り下げることをしないまま堤防をかさ上げしたために、木津川の支流はことごとく天井川になったのです。

木津川とその支流の治水地形分類図

木津川とその支流の治水地形分類図
国土地理院治水地形分類図を元に作成

木津川流域の山々の地質が風化しやすい花崗岩類であることも、土砂の流入が激しくなる一因です。

木津川流域の不動川の堤防の下を走る電車

木津川市にあるJR奈良線棚倉駅(たなくらえき)の北側右手方向に見える高まりは天井川のひとつ、不動川の堤防です。堤防の下部にトンネルが掘られ、そこに線路があり、電車は堤の下を走っています

トンネルから北西の方向へ歩くと、旧道があり、車がギリギリ通れるという高さの低いトンネルもあります。これは1914年に不動川の下を通すため使られたトンネルですが、その後不動川の川底が人工的に下げられたため、トンネルの天井も下がったのです。

不動川上流に整備された日本初の石積堰堤群

不動川の上流には、明治時代のはじめに政府が招いたオランダ人土木技師、ヨハネス・デ・レーケが造った日本初の石積堰堤群があります。デ・レーケは、近代日本の治水事業の礎を築いた人物で、高さの異なる木曽三川を3つに分けて治めたことでも知られます。

不動川の堰堤群は、築造から100年を超えた今でも当時の姿のまま残ります。現場は、不動川砂防歴史公園として整備され、憩いの場として活用されています。

木津川流域で多発する水害

天井川は災害に弱い川です。1953年8月に発生した豪雨による南山城水害では、京都府南部や滋賀県南部、そして隣接する奈良県と三重県の一部に甚大な被害をもたらしました。430人の死者・行方不明者のうち、京都府だけで336人。もっとも大きな被害があったのは木津川より下流の大正池(井手町(いでちょう))でしたが、先述の不動川をはじめ木津川の支流も決壊し、土石流によって被害を受けました。南山城地域はもろく崩れやすい風化した花崗岩が広く分布していることも原因です。

それから約60年後の2012年、宇治川の支流にあたる弥陀次郎川(みだじろがわ)が豪雨のために決壊しました。決壊場所は、やはり川底が周囲より約2m高い天井川でした。

近年はゲリラ豪雨に代表される異常気象も多く発生します。京都府では府内にある天井川すべてに水位計やカメラなどを設置し、監視体制を整えています。

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Part.1 地図で読み解く京都の大地

・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)

…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 京都を駆ける充実の交通網

・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道

…などなど京都ならではの交通事情を網羅。

Part.3 京都の歴史を深読み!

・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた

…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 京都で育まれた産業や文化

・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮

…などなど京都の発展の歩みをたどる。

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