鞍馬山は比叡山と並ぶ霊山
比叡山と同じく霊山として崇(あが)められているのが、京都盆地の北に位置する鞍馬山(584m)です。
この山は海底火山の隆起によって約2億5000万年前に誕生したと考えられており、麓には東に鞍馬川、西に貴船川(きふねがわ)が流れています。
鞍馬山の伝説と景観
650万年前に天狗の総帥である護法魔王尊(ごほうまおうそん)が金星から降り立ったという伝説が残り、尊天信仰の中心になったのが鞍馬寺。この鞍馬寺は牛若丸(源義経)が修行をした地としても有名で、770年の開創以来多くの修行僧が鞍馬山を目指し、その信仰は皇族や公家、武家、町民の間にも広がっていきました。
山の中腹にある本殿金堂から奥の院にかけての道は現在もほぼ無舗装で、木の根が地面を這う神秘的な光景が広がっています。これは地盤が固く、木の根が地中深くまで入り込めないために生まれた、鞍馬山の独特の景観です。
鞍馬山で発見された生き物
また山に棲息するニシキマイマイやモリアオガエルなどは、鞍馬で最初に発見された生き物とされます。このことからも鞍馬山の自然の豊かさをうかがい知ることができます。
大文字山と「五山の送り火」
左京区の大文字山(如意ヶ嶽・465m)は、京都の伝統行事「五山の送り火」が行われる山として知られます。
この「大」の字は計75の火床で表され、一画目が80m、二画目が160m、三画目が120mとまさに桁違いの“大きさ”です。送り火の由来や起源は不詳ですが、1665年に刊行された『扶桑京華志(ふそうけいかし)』に記述があり、江戸時代前期には行われていたようです。
京都の景観を守る市の政策
また山腹の火床からは京都の町の大パノラマが広がり、その眺望は抜群。京都市の景観政策には「建築物等は大文字山から見下ろすときの景観を阻害してはならない」という文言があります。こうした市の取り組みもあって観光都市・京都は守られ続けているのです。
京都府にある唯一の火山
福知山市と兵庫県朝来市(あさごし)の境にある田倉山(たくらやま)は標高349.7m。きれいな円錐形をしていることから宝山とも呼ばれ、京都府唯一の火山でもあります。
麓に広がる夜久野高原(やくのこうげん)は噴火の際、流れ出た溶岩が冷え固まってできあがった溶岩台地で、玄武岩が基岩となっています。これまでに3回以上の大噴火があったとされ、流れ出した溶岩には「小倉溶岩」「衣摺(きぬずり)溶岩」「田倉山溶岩」の名がつけられています。
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・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)
…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 京都を駆ける充実の交通網
・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道
…などなど京都ならではの交通事情を網羅。
Part.3 京都の歴史を深読み!
・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた
…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 京都で育まれた産業や文化
・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮
…などなど京都の発展の歩みをたどる。
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