終戦直前の熊谷空襲と埼玉県域への戦時疎開

熊谷大空襲が埼玉県を襲う

ところが、1945（昭和20）年8月14日の深夜から翌15日の未明にかけて、熊谷を標的とする空襲が行われました。

午前2時頃までに無数の焼夷弾が熊谷に投下され、市街地面積の約3分の2が罹災。被災戸数3630戸は全戸数の約4割に相当し罹災者は1万5390人、周辺地域と合わせ266人が死亡。

熊谷市民は焦土のなかで夜を明かし、その日の正午に玉音放送（終戦の詔勅）で終戦を迎えました。のちに熊谷市は、埼玉県で唯一の「戦災指定都市」に指定されています。

熊谷大空襲は飛行機部品会社が標的だった

なお、熊谷が空襲の標的とされた理由は、中島飛行機株式会社の飛行機部品（おもにエンジン部品）を製造する下請け工場があったからだということが、近年公開された米軍資料に示されています。

熊谷大空襲は回避できたかもしれない？

ところで、日本政府は14日午後11時頃、中立国を介して、連合国側へポツダム宣言の受諾（無条件降伏）を通告していました。しかし、暗号解読などを経て連合国側に通達が届いたのは翌15日の午前7時頃。実際、米軍は熊谷空襲を「中立国を介して連合国側に通告される前」としており、すんでのところで熊谷空襲を回避できなかったことが、かえすがえすも悔やまれます。

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