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長野県の地形の特徴は急峻な日本アルプスと6盆地の対照的な構造
地形の特徴には、活火山を含めた急峻な山の連なりと盆地や谷筋という対照的な構造が挙げられます。長野県境や県央(南)を北アルプス(飛騨(ひだ)山脈)、中央アルプス(木曽(きそ)山脈)、南アルプス(赤石(あかいし)山脈)といった日本アルプスの2000~3000m級の山々が縦貫。そのいっぽうで、長野県東部の千曲川流域には佐久、上田、長野の3盆地が上流から順に開かれ、県西部では中央アルプスの東麓に松本、諏訪、伊那の3盆地を形成。中央アルプス西麓には、木曽川の侵食によるV字谷(木曽谷)が発達しています。
盆地を含めた低地(台地)は長野県面積の2割に満たず、山地が8割超を占めています。前出6盆地こそが長野県民の主要な生活地域になっているのです。
長野県の地形:中央アルプスと伊那谷
主峰・木曽駒ヶ岳(標高2956m)のほか空木岳(同2864m)、宝剣山(同2931m)などが約100㎞(範囲は諸説あります)にわたり南北に連なる中央アルプス(木曽山脈)。約70万年前、東西を走る2本の断層から押されるようにして中心部分が隆起。そのため、前衛に山がほとんどなく、一気に高度が上がる急峻かつ、川や滝をたくさんもつ山々が形成されました。東側にある細長い盆地が伊那谷で、JR飯田線や中央自動車道が縦走します。
長野県の地形に見る海時代の証拠
臨海地がまったくない「海なし県」の長野ですが、太古、この地域が海だった証拠は、あらゆる場所に「海洋生物の化石」として刻み込まれています。ホタテガイの仲間などの貝類はもとより、クジラをはじめとした海生哺乳類化石も採取されています。長野県の土台は、海洋プレートが大陸プレートの下へ沈み込む際、沈み込めなかった堆積物が大陸側に付加したもの(付加体)で、地殻変動によって隆起し、アルプス山脈が形成されました。付加した堆積物には当然ながら、「海」の痕跡が残されています。
長野県の地形:戸隠連峰
戸隠山(標高1904m)のほか西岳(同2053m)や高妻山(同2353m)など2000m級の山々が連なる戸隠連峰は、東北日本と西南日本を分ける大地溝帯「フォッサマグナ」の北部に位置しています。かつて海だった場所で約500~400万年前に火山が噴火。山々は、その噴出物が固まった凝灰角礫岩でできており、約200万年前から地殻変動によって隆起し始め、やがて現在の急峻な姿になりました。海だった証拠として、戸隠山からはシナノホタテなど貝類の化石が多産しています。
長野市で見つかったダイカイギュウ化石
長野市戸隠と中条村(現・長野市)の約500万~300万年前の地層から「ダイカイギュウ」という海生哺乳類(絶滅種)の肋骨化石が見つかっています。これはジュゴンやマナティーの仲間(カイギュウ目)で、温かい海に生きるジュゴンらと違い、ベーリング海~アラスカの冷たい海で暮らし低水温に適応するため皮下脂肪を蓄え大型化したと見られています。中条の個体は推定で体長8~9m、体重約9トン。柔らかい昆布や海藻が主食だったため歯は退化したと考えられています。
【長野県の地形特別編】御池山に日本唯一のクレーター!?
南アルプス南部、御池山の南東斜面には、約3万~2万年前、直径45m ほどの小惑星が衝突し直径約900m のクレーターができたと考えられています。国際隕石学会に認められれば、日本初の隕石クレーターとなりますが、公認の道は容易ではありません。研究グループは、これまで衝突クレーターとする証拠をふたつ見つけています。ひとつが、隕石衝突の激しい衝撃力で生じる、PDF構造と呼ばれる特異な結晶構造をもった石英。もうひとつが、衝突クレーターで起こり得る「負の重力異常」の観測です。
ところが、クレーターとして認められるには「3つ以上」の条件クリアが必要となります。たとえば、明らかにクレーターといえるエリアや、隕石そのものやシャッターコーン(巨大隕石衝突口の内部に形成されるはずの表面に溝がある岩石)の発見です。
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長野県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。長野の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報満載!
Part.1 地図で読み解く長野の大地
・地形・地質総論「東西から圧縮されている長野」
・伊那山地と南アルプスを縦貫!日本最大の断層・中央構造線
・大地溝帯フォッサマグナとかつて信州が海だった証
・火山活動の歴史を物語る山容 八ヶ岳連峰の南北で大きな違い
・北アルプス唯一の活火山!焼岳の噴火と上高地盆地の形成
・天竜川と断層で形成された伊那谷の日本一の河岸段丘
・野尻湖のナウマンゾウ化石に旧石器人の生活が見える?
・千曲川沿いの段丘上に築かれ、急崖と川が守る上田城のすごさ
などなど長野のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 長野を駆け抜ける鉄道網
・高崎~長野の長野新幹線に始まり敦賀への延伸を目指す北陸新幹線
・66.7パーミルの勾配路線だった信越本線碓氷峠とは?
・東京と名古屋を結ぶ大幹線で山岳地帯を駆け抜ける中央本線
・明治期に開通し善光寺平と松本盆地を結ぶ篠ノ井線
・伊那谷やアルプスを望み旧型国電も走った飯田線
・県内最大の路線網を誇った、私鉄・長野電鉄の変遷
・別所温泉に向かう温泉電車、上田電鉄別所線の魅力
などなど長野ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 長野で動いた歴史の瞬間
・縄文遺跡の宝庫・信州は日本一の人口密度だった!?
・信濃の国は有数の馬産地! 都に名を馳せた望月の駒とは?
・弓馬に長けた信濃武士が源氏配下として平氏討伐
・信州の南北戦争と呼ばれる大塔合戦はどうして起きた?
・甲斐武田信玄vs越後の上杉謙信、二大英雄が激戦を演じた川中島
・流転した善光寺の本尊は天下人の元に安置された?
・松本の貞亨騒動や上田の宝暦騒動 信州で百姓一揆が続発したわけ
・松本城が直面した取り壊し危機 救ったのは松本の住民だった!
などなど、激動の長野の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 長野で育まれた産業や文化
・江戸時代に整備された用水路 五郎兵衛用水路とは?
・信州の気候風土を生かした寒冷地農業のここがすごい!
・蚕糸王国として栄えた長野県が電気機械工業県に変貌したわけ
・明治期の外国人別荘に始まる軽井沢エリアのリゾート化
・洪水を繰り返してきた暴れ川、千曲川を巡る治水事業の全容
・日本三大奇祭に数えられる、諏訪大社の御柱祭の本質とは!?
などなど長野の発展の歩みをたどる。
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