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福岡城に天守閣は存在するのか? 復元の可能性は?

福岡城について長く続く議論があります。「天守の存否」と「天守復元の是非」をめぐる議論です。
築城当時の情勢を見れば、天守のない方がむしろ異例であり、考古学および文献史学の観点からも天守はあったと考えるのが自然でしょう。天守台や礎石が残り、天守について言及した史料がいくつか存在するからです。しかし、その構造や外観について触れた史料は現在のところ見つかっていません。復元の是非については結論が出るまで今しばらくの時がかかりそうです。

福岡城の天守と並んで議論された下ノ橋御門について

この議論と並んで、新聞紙上をにぎわせたのが下ノ橋(しものはし)御門復元をめぐる議論です。外観を推定する上で手がかりとなる上ノ橋(かみのはし)御門の古写真は鮮明さを欠き、写真の解釈をめぐって意見が分かれました。ところが、すでに建物が復元された後ではあったのですが、黒田家より福岡市博物館へ寄贈された史料の中から、上ノ橋御門の極めて鮮明な古写真が発見され、古写真の遠近補正により、西面の窓や銃眼の位置などがほぼ特定できたのです。こちらの方は議論に進展があったとみていいでしょう。

福岡城は惣構の規模の大きさにも注目

福岡城は城そのものだけでなく、惣構(そうがまえ)(城下町一帯を囲む防御施設)の規模が大きなことでも知られています。惣構の門のなかで城から一番遠いのは現在の博多駅近くにあった辻堂(つじのどう)口門。城から道のりにして3kmも離れていた門です。建築の規模はさほど大きくありませんが、門の南には土塁と幅20m~30mの堀がおよそ800mにわたって続いていました。現在でいえば、キャナルシティ付近から、博多区役所、出来町公園を経て謝国明(しゃこくめい)の墓に至るラインです。このほか、現在のアクロス福岡のあたりに数馬門(春吉門)、岩田屋本店のあたりには薬院(やくい)門があり、その規模の壮大さをうかがうことができます。福岡城は東西4kmにも及ぶ壮大な城だったのです。

福岡城の惣構(江戸初期)

福岡城の惣構(江戸初期)
西田博氏作成の地図を基に作図 ①~⑱は現在の施設等です

①福岡ヤフオク!ドーム ②西公園 ③能楽堂 ④大濠公園 ⑤福岡市美術館 ⑥六本松交差点 ⑦三の丸スクエア ⑧福岡城むかし探訪館 ⑨岩田屋本店 ⑩アクロス福岡 ⑪大丸福岡天神店 ⑫薬院駅 ⑬福岡サンパレス ⑭博多小学校 ⑮博多座 ⑯キャナルシティ ⑰福岡商工会議所 ⑱博多駅

福岡城跡

住所
福岡県福岡市中央区城内舞鶴公園
交通
地下鉄赤坂駅から徒歩8分
料金
情報なし

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