秩父の山中地溝帯で恐竜の化石と水流の化石「瀬林の漣痕」が発見された
ところで、埼玉県内から国道299号で神流町方面へ、志賀坂トンネルを抜けたあとしばらく走っていると、途中で「瀬林(せばやし)の漣痕(れんこん)」と呼ばれる群馬県指定天然記念物があります。
漣痕は白亜紀にできた水流の痕跡がそのまま岩になって残ったもので、いわば「水流の化石」です。瀬林の漣痕は、1953(昭和28)年の道路拡張工事の際に姿を現しました。当時、調査チームが研究を行いましが、その際に漣痕とは別のくぼみがあり、当初は正体がわからず「奇妙な穴」と呼ばれていました。
1985(昭和60)年、その正体が恐竜の足跡であることが判明。日本初の恐竜足跡化石ということで、日本中が色めきたちました。さらに、サンチュウリュウ(オルニトミモサウルス類)、スピノサウルスの一種、ティタノサウルス形類の一種など4点の恐竜化石が発掘されました。
神流町内には「神流町恐竜センター」という展示施設があり、ここでは化石発掘体験もできます。
神流町恐竜センター
- 住所
- 群馬県多野郡神流町神ヶ原51-2
- 交通
- JR高崎線新町駅から日本中央バス上野村ふれあい館行きで1時間40分、恐竜センター下車すぐ
- 料金
- 入場料=大人600円、小・中学生300円、企画展は別料金/化石発掘体験(1時間、要予約)=500円/化石レプリカ作製体験(先着順)=300円/(20名以上の団体は大人550円、小・中学生250円、障がい者手帳持参で入場料半額)
埼玉県側の秩父山中地溝帯で発見された各種化石
残念ながら、今のところ埼玉県側の山中地溝帯では恐竜に関する化石は見つかっていません。しかし、群馬県側の地層は埼玉県側にも伸びており、今後発見される可能性はゼロではありません。
埼玉県側の山中地溝帯でも、アンモナイトやベレムナイト、オウムガイ、三角貝といった生物化石のほか、シダ類やソテツ類などの植物化石が発見されています。生物はいずれも河口から浅海に生息していたことが知られており、この地がかつて海だったこと、中生代白亜紀以前に浅海に堆積したことを示唆しています。
また、小鹿野町には白亜紀に形成された 「底痕(ていこん)」があります。底痕は、海底で水流により削られてできた模様の上に砂が堆積し、その砂が石化した際に海底の模様が写しとられたものです。
『埼玉のトリセツ』好評発売中!
日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。埼玉県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
『埼玉のトリセツ』●地図で読み解く埼玉の大地
八王子構造線が走る埼玉は西に山、東に低地の西高東低/地質・地形の見どころ満載!地球の窓、長瀞の大自然をゆく/クジラも泳ぐ古秩父湾が正方形状の秩父盆地になった!?/パレオパラドキシアに巨大ザメ、貴重な動物化石を秩父で産出!/海なし県なのに砂丘群の謎、中川低地に形成された河畔砂丘/入間川沿いで完全形化石も発見、日本固有種のアケボノソウって?・・などなど埼玉のダイナミックな自然のポイントを解説。
『埼玉のトリセツ』●埼玉を駆け抜ける鉄道網
国鉄・大宮工場に始まり鉄道の町に成熟した大宮/日光を巡る鉄道バトル、国鉄vs東武鉄道のゆくえ/東北新幹線の開通と埼京線敷設の苦難の歩み/埼玉ほか首都圏をぐるり、最強の貨物船・武蔵野線/西武新宿線は「新宿」ではなく国分寺~川越線で始まった!/「おとぎ列車」でSLも走っていた3駅2.8㎞、西武山口線の魅力・・などなど、意外と知られていない埼玉の鉄道トリビアを厳選してご紹介。
『埼玉のトリセツ』●埼玉で動いた歴史の瞬間
9基が現存するさきたま古墳群と稲荷山古墳で出土した鉄剣の意味/直径74mの巨大円墳・八幡山古墳が「関東の石舞台」と呼ばれるわけ/秩父で産出された同を使った日本初の流通貨幣、和同開珎/源頼朝による鎌倉幕府樹立と武蔵国を根拠地とした武蔵武士/太田道灌が長尾景春を討ち、難攻不落の鉢形城が遂に落城/江戸湾に注ぐ坂東太郎を東へ、利根川東遷と荒川西遷の大工事・・・などなど、興味深いネタに尽きない埼玉の歴史。知れば知るほど埼玉の歴史も面白い。
『埼玉のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!