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金隈遺跡から発掘された「甕棺」とは?
甕棺は壺形土器がそのルーツで、今から約2300年前に大型の甕棺が登場しています。ほかの用途に用いられることはほぼなく、弥生人たちは遺体を土器に納め、土に触れないようにすると骨の残りが良いことを経験的に知っていたと考えられます。そのことが成人の遺体を土器に納めることにつながったのでしょうか。
また、そこには死者の再生を願う気持ちも働いたと考えられます。金隈遺跡で発見された貝輪は、現在の奄美・沖縄諸島以南のサンゴ礁に多く生息する大型の巻貝、ゴホウラの貝殻を加工した装身具で、南海産貝輪と呼ばれています。これらの貝輪を身に着けた人物は、集落全体の祀りを司るような特別な人物であったと考えられています。
金隈遺跡から発掘された人骨からわかる当時の人々の姿
金隈遺跡からは、合計136体の人骨が発見され、成人の骨は99体、未成人の骨は37体でしたが、子どもの死亡率はさらに高かったと推測されています。
また、現代と同じく女性の方が長命で、平均身長は成人男性で162.7cm、女性は151.3cmと縄文人の平均身長より高くなっていました。顔立ちは幅広く面長で、縄文人とは異なった扁平顔でした。このような特徴を持つ弥生人を「渡来系弥生人」と呼んでいます。
金隈遺跡について詳しく知りたい人は「金隈遺跡甕棺展示館」へ
現在、金隈遺跡では、もっとも標高が高く墓が密集した場所360㎡に「金隈遺跡甕棺展示館」を設置し、甕棺墓91基、土壙墓34基、人骨4体の実物を発掘当時ほぼそのままの状態で展示しています。
また、館内の一角には最新の研究成果に基づく金隈遺跡の解説や間近に実物の甕棺を観察できるコーナーを設けているので、ぜひ足を運んでみましょう。
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