福岡の地形から「住みやすい県」といわれる理由を読み解く
福岡県には山地と平野がそれぞれ4つあります。筑紫山地は地体構造からいうと西南日本の内帯に属し、中国山地の南西延長部分にあたり、九州北部を北東から南西に走っています。久留米市の東から大分県境まで東西に延びているのが耳納(みのう)山地、その南に位置するのが筑肥(ちくひ)山地、そして英彦山(ひこさん)を主峰とし、県東部で大分県との県境をなしているのが英彦山火山岩山地です。
筑紫平野は南東を耳納山地と筑肥山地、北西を脊振(せふり)山地に囲まれた九州最大の平野で、福岡県民の水源でもある筑後川が流れています。県北西部の福岡市中心部から春日市、太宰府市にまたがる御笠川や那珂川、室見川などの下流域に形成されているのが福岡平野、遠賀川流域に広がるのが筑豊盆地で、明治期には日本の石炭産業を支えた地です。豊前平野は、福岡県と大分県国東(くにさき)半島との間にある平野のことで、北半部が行橋市を中心とする今川下流域に広がるため行橋平野と呼ばれることもあります。
このように、福岡県は山地と平野のバランスがよく取れた土地であることから、「自然と都会が共存する都市」として発展してきたのです。
【福岡の地形】糸島地方
福岡県の西部にあり脊振山地北斜面を占めています。博多から唐津へ向かう筑肥線沿いの平野にある前原や志摩では多くの遺跡や古墳が見つかっており、古代から交流の拠点になっていたことがわかります。
【福岡の地形】大宰府
太宰府は博多湾から15kmほど離れ、筑紫平野と博多湾の中間に位置するため、古代から中世までは九州を治め日本を守る要所であり、政治上の中枢でもありました。かつては大宰府を中心に各地方へ延びる道路が作られていました。
【福岡の地形】筑紫平野
九州最大級の河川、筑後川を中心に開けた平野で、福岡県の一大米産地。江戸時代までは洪水を繰り返す暴れ川でしたが、17世紀に入り堤防や堰、水路が作られ栄えていきました。熊本県との境には平成時代まで稼働した三池炭鉱があります。
【福岡の地形】博多湾
西側に糸島半島、東側に海の中道・志賀島、中央に能古島、西の沖に玄界島があります。これらの地形は玄界灘の荒波を防ぐ自然の防波堤でもあり、博多港が発展したひとつの要因だと考えられます。
【福岡の地形】北九州
北九州は山が低く、平野や盆地が割合に広いため山の中にも谷が多く通っています。交通の便が良かったため、早くから開け人口が多くいました。現在は日本有数の工業地帯としても知られます。
【福岡の地形】筑豊地方
石炭で栄えたエリアで、現在の飯塚市、直方市、田川市が中核都市となっていました。筑豊炭田から産出される石炭は、一時期日本の生産量の半数を占めていたともいわれています。
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●収録エリア
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