更新日: 2023年8月22日
熊野三山の基本ナビ 神社の特徴と3社めぐりをチェックしましょう
いにしえより脈々と続く熊野信仰の地でもあり、世界遺産にも登録された和歌山を代表する名所、熊野三山と熊野古道。
熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つの神社の総称で、半日あればすべてを回ることができるため一緒に行く観光客が大半です。
こちらの記事では便利な観光バス情報もご紹介します。
合わせて熊野古道の歴史も知っておきましょう。
熊野三山とは
熊野の本宮、新宮、那智の3つの聖地をまとめて熊野三山というほか、本宮の熊野本宮大社、新宮の熊野速玉大社、那智の熊野那智大社の3つの神社の総称としても熊野三山という。平安時代に起こった本地垂迹説(日本の神々はさまざまな仏が形を変えて日本に現れたとする考え方)により、本宮大社は阿弥陀如来、速玉大社は薬師如来、那智大社は千手観音とされ、熊野三所権現とも呼ばれている。
【熊野三山①】熊野本宮大社
石段を上り、神門をくぐると木々が包むすがすがしい境内に出る。明治の大洪水で流出を免れた4殿を移築した熊野権現造りの社殿は、現在地への遷宮120年を記念して檜皮葺きの屋根も修復され、美しく輝いている。主祭神の家津御子大神は旧社地大斎原のイチイの木に降臨したと伝わり、木の神とあがめられている。また、平安時代に隆盛した本地垂迹説(神仏習合思想のひとつ)により、家津御子大神の本地仏は阿弥陀如来とされ、現世の浄土として信仰を集めた。
熊野本宮大社
- 住所
- 和歌山県田辺市本宮町本宮1110
- 交通
- JRきのくに線紀伊田辺駅から龍神バス本宮大社方面行きで2時間5分、本宮大社前下車すぐ
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 7:00~17:00(閉門、社務所・授与所は8:00~)
- 休業日
- 無休、宝物殿は要問合せ
- 料金
- 八咫ポスト絵馬=500円/鬼門札=大1000円、小800円/熊野牛王神符=大3000円、小800円/八咫烏守り=大800円、小500円/祈祷初穂料=5000円~/
【熊野三山②】熊野速玉大社
熊野本宮大社とともに全国数千社の熊野神社の総本宮として崇敬を集める。力強く映え輝く霊の象徴とされる速玉大神(=いざなぎのみこと)と結霊の神夫須美大神(=いざなみのみこと)の夫婦神を主神とし、縁結びの神社としても知られ、全部で十八柱の神々を祀っている。神倉神社のある神倉山に降臨した神々が、景行天皇の時代に現在地に遷座したため熊野速玉大社を新宮とも呼び、地名の由来ともなっている。現在の社殿の形式が整ったのは平安時代初期という。
熊野速玉大社
- 住所
- 和歌山県新宮市新宮1
- 交通
- JRきのくに線新宮駅から徒歩20分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 夜明け~日没まで(神宝館は9:00~16:00)
- 休業日
- 無休
- 料金
- 入館料(神宝館)=大人500円、高校生以下無料/なぎ人形=2000円/八咫烏絵馬=600円/熊野牛王符=800円/御神木梛の苗木=400円(春・秋限定要問合せ)/『熊野観心十界曼荼羅』の神職解説(30分)=500円(要問合せ)/(30名以上の団体は1割引)
【熊野三山③】熊野那智大社
熊野三山のひとつで那智の滝をその信仰の起源とする。遥か太平洋からも仰ぎ見ることができる那智の滝は太古から神としてあがめられ、大己貴(おおなむち)命(=国づくりの神として知られる大国主命/おおくにぬしのみこと)の御神体として祀ってきたという。那智の滝を見晴らす現在地に社殿が遷ったのは1700年前。本殿には主神・熊野夫須美神(ふすみのかみ=伊弉冉尊/いざなみのみこと)のほか十二柱の神々が祀られている。平安時代に生まれた本地垂迹説により熊野夫須美神の本地仏は千手観音とされ、観音霊場としても繁栄した。
熊野那智大社
- 住所
- 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
- 交通
- JRきのくに線紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バス那智山行きで25分、終点下車、徒歩15分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 7:00~16:30(閉門)、宝物殿は8:30~16:00
- 休業日
- 無休、宝物殿は水曜
- 料金
- 見学料(宝物殿)=大人300円、小人200円/八咫烏おみくじ=600円/八咫烏御守=800円/烏牛王神符=800円/御朱印帳=2000円~/結宮えん結びの糸=500円/那智山宮曼荼羅(室町時代)の縮小複製=3000円/
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」
高野山(和歌山県)、熊野三山(和歌山県)、吉野山(奈良県)という神仏の「霊場」とその「参詣道」(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野山町石道)のこと。「霊場」と「参詣道」およびそれらを取り巻く「文化的景観」が、世界でも類を見ない資産として評価され、2004年7月に日本で12番目の世界文化遺産として登録された。紀伊半島の中央に横たわる紀伊山地を縦横に延びる古道は、いにしえの人々の祈りの道。豊かな自然と深い信仰が結びついた祈りの道は、今なお神秘的な雰囲気が漂う。
定期観光バスを利用して熊野三山を1日でめぐる
熊野交通が毎日催行する定期観光バス「熊野三山めぐりコース」もオススメ。
※完全予約制
【紀伊勝浦駅】8:30発
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川湯温泉 9:36発
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渡瀬温泉 9:38発
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湯の峰温泉 9:44発
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熊野本宮大社 見学時間は約40分
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志古(ランチ) 「瀞峡めぐりの里 熊野川」で約30分の昼食(弁当付)
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熊野速玉大社 見学時間は約20分
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熊野古道大門坂 見学時間は約15分
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那智の滝 見学時間は約25分
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熊野那智大社・青岸渡寺 見学時間は約50分
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【紀伊勝浦駅】15:10着
問い合わせ先 熊野御坊南海バス
0735-22-5101
9:00~18:00
無休
紀伊勝浦駅乗車7600円、川湯温泉・渡瀬温泉・湯の峰温泉乗車6300円
詳細はHPをチェック。
※バス発着時刻、見学時間は道路状況等により変更される場合があります
熊野三山と熊野詣
熊野三山はその起源や自然崇拝の対象は違うが、日本独特の神仏混合の影響を受けて熊野三所権現として信仰されるようになり、これらを巡礼することを熊野詣という。熊野の神様は現世に利益をもたらし、死後も浄土に導いてくれる霊験あらたかな存在で、「信・不信、老若男女、貴賎、浄・不浄」にかかわらず、どんな人も救ってくれる。誰もが救いを求めて、熊野への旅に出たのもうなずける。
熊野詣の歴史
いにしえの熊野詣は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の順にめぐるのがならいだった。10世紀の宇多上皇から13世紀の後鳥羽上皇の頃に最盛期を迎え、上皇たちの熊野御幸から熊野詣ブームが始まる。室町時代以降は武士や庶民へと広がり、「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど多数の参詣客が熊野をめざした。
熊野牛王宝印って何?
熊野牛王神符もしくは、熊野牛王宝印神符ともいわれる烏文字で書かれた熊野三山独特の神符(お札)。熊野三山で少しずつ図柄が違う。俗に「おカラスさん」と呼ばれる。裏に誓いの言葉を書く誓紙としても使われてきた。
八咫烏って何?
『日本書紀』にも登場する三本足のカラス。熊野では八咫烏は熊野神の使いで、太陽の化身とされている。熊野では、カラスのことを「権現ガラス」とか「烏牛王(からすごおう)」と親しみをこめて呼んでいる。熊野那智大社の社殿前には八咫烏像がある。
熊野三山と熊野古道
熊野三山への参詣道を総称して熊野古道という。熊野古道には、紀伊半島西岸を通る紀伊路、高野山と熊野を結ぶ小辺路、伊勢神宮と熊野を結ぶ伊勢路の3本の主要ルートがあり、紀伊路は田辺でさらに、山中を行く中辺路と海沿いを行く大辺路に分かれる。なかでも、中辺路町から熊野本宮大社を目指す中辺路ルートが人気が高く、滝尻王子からは500mごとに道標があるので初心者にもおすすめ。
王子って何?
熊野古道の道中、熊野の神を祀り、信仰の道をつなぐために設けられた神社を総称して熊野九十九王子と呼ぶ。王子は熊野の神の分社で、旅人がここで宿泊したり休憩したり、貴族などは歌会を開いたとも伝わる。九十九王子のなかで、とくに格式が高いとされる藤白王子、切目王子、稲葉根王子、滝尻王子、発心門王子の5つは、五躰王子と呼ばれている。
熊野古道の歩き方
ハイキングに適した服装で!
本格的な山道も多いので、靴は底の厚いウオーキングシューズが基本。半袖や素足は避け、着脱可能な服も忘れずに持って行こう。
必携アイテムは?
基本的にはハイキングに携行するもので十分。飲み物、雨具と携帯電話は忘れずに。中級・上級コースになると険しい道の連続なので、ルートマップは必須。
歩く際の目印は標識
熊野古道は標識が整備されているので、見逃さないようにしたい。
便利なサービスを利用して熊野古道を歩く
語り部さんと歩く
和歌山県の各地にいる、その土地をよく知るガイド人「語り部」。中辺路町や本宮町にもおり、熊野古道や自然、里の暮らしなどを語りながら案内してくれる。料金などは観光協会に問い合わせを。
【問い合わせ先】0735-42-0735 (熊野本宮観光協会)0739-64-1470 (熊野古道館)
熊野古道
- 住所
- 和歌山県田辺市中辺路町ほか
- 交通
- JRきのくに線紀伊田辺駅から龍神バス本宮大社行きで滝尻まで40分、牛馬童子口まで1時間8分、なかへち美術館まで1時間
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 情報なし
- 休業日
- 情報なし
- 料金
- 情報なし
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】まっぷるマガジン編集部
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